「気品」と「色気」が、今の日本には欠けていると思います。
でも、「気品」って何だろう?
開高健は「気品」をこう語りました。
p.169 (抜粋です)
女の気品というのは、自分のことを美しいとか美しくないとか、
そんなことを頭から気にしていない場合に生じるのかと。
男なら何だろうか。
一生懸命やって、生涯、勉強したり、研究したり、
考え込んだり、分析したり、総合したり、物を知ってきた
人が仮にいたとする。しかし、一生懸命それをやったという
一方で、それは無駄であると、一切無駄であるということを
同時にわきまえている人。もしそれが顔に出てきたら、
その人物はかなりの気品がでてくるんじゃないか、と
思うんですが。
本来、あるいは修行の結果持つことになったサムシング、
形にならないがはっきり人に対して出てくる、訴えようと
思っていないのに、訴えてきて、人を寛がせたり、和らげたり
する人、そういうものですね。それをなんとかして作りたいと
思うんです。
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「専門バカ」という言葉がありますが、
どうしても学者等の専門分野を持つ人は
自分の専門分野の知識に逃げ込み、閉ざされた
世界における業績に大して自己満悦に陥り、
そして、その自己満悦が「下品さ」として顔に
出てしまう場合が多い。
何かを極めて自信を持ちつつ、同時に謙虚さを
失わない、そういう人間になりたいです。