昨日ご紹介した色川武大氏の本(うらおもて人生録)の解説担当は
西部邁氏です。なんとも面白い組み合わせですよねー




学者 この喜劇的なるもの
西部 邁
草思社 (1989/06)
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p.12
保守は、人間も制度も矛盾、葛藤、逆説そして二律背反の
濃い塊となっているととらえ、その危機のなかで平衡を保つ
ための知恵が伝統の中枢に蓄えられているとみなし、その
伝統を保守せよと主張するのである。



西部氏の説く保守はとてもダイナミックなものです。様々な二律背反の中で
生きていくための知恵が伝統に蓄えられている、と西部氏は言う。保守とは
「現状維持」でも「現状弁護」でもない、と。



p.11
自己を疑うことをしない凡庸な人間を大衆人とよぶなら、大衆人の典型は、
自己のかかわる分野以外には興味を示さない、さらには反発を隠さないもの
としての専門人である。



西部氏の説く大衆批判は、決して「知識や学歴がない大衆」という意味では
なく、オルテガの大衆論の流れを汲む「専門家批判」としての大衆批判である。
つまり、学者こそが「凡庸な大衆」の典型と西部氏は大胆にも言ってのける。






学者この喜劇的なるもの