さて、数学の話の続きです。数学は本当に面白い!


算数のできる子どもを育てる (講談社現代新書)



<風太郎>
問題です。リンゴが2個、バナナが3個あります。全部で何個ありますか?


<風子>
5個に決まっているじゃない。 2+3=5だから。


<風太郎>
そうかなあ。リンゴとバナナは違うものなのに、本当に足せると思う?


<風子>
え、どういうこと?


<風太郎>
たとえば、人間2人と猿3人(?)を合わせて全部で5人(?)とは数えないでしょ?


<風子>
あ、そうか。でも、人間と猿は全然違う生き物だけど、リンゴとバナナは両方果物じゃない?


<風太郎>
確かに。でもそれを言い出したら、人間と猿だって、両方霊長類の動物だよ?(ニヤリ)


<風子>
????



数学では、「同種の量」「同じカテゴリーに属する量」しか足すことができません。そして、2つの物が同じカテゴリーに属するのか、はたまた異なるカテゴリーに属するのかは、あくまで「文化の問題」「定義の問題」「意識の問題」としか言いようがない問題なのです。


つまり、リンゴとバナナを「果物という同じカテゴリーに属するもの」と認識すれば、2+3=5(果物が5個)と計算しても良く、逆に、リンゴとバナナを「異なるカテゴリーに属する別物」と認識すれば、計算の結果は「リンゴ2個とバナナ3個」としか表現しようがないわけです。<<>>


日本の算数・数学教育の根本問題は、ここにある。「同種の量」でなければ、たし算できないことを子どもに教えない。<<<<<>>>>>


何と何なら足せて、何と何なら足せないか、という基本的な認識問題を素通りにして、ひたすら計算だけしていても、子供が数学を好きになる可能性は低いのではないでしょうか?