以前の記事の再掲で申し訳ないのですが、恋愛論の名著を
紹介させてください。特に学生さん向けです!

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恋愛論の傑作です。



悪の恋愛術
悪の恋愛術
posted with amazlet on 06.08.15
福田 和也
講談社 (2001/08/20)
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p.9
相手に対する配慮なり、親切、さまざまな献身というものも、
すべて「独りよがり」に発するものだということを。それを
弁えなければならない、ということです。


p.9
恋愛において、あるいは対人関係全般において、もっとも
恥ずべきことであり、また物事を堕落させもするものは、
善意による献身という思い込みです


p.22
「悪い人」になることです
人と人とは、所詮理解しあえない、簡単に結びあったりできないと
いうことを前提として、人と交際すること。
自分の思いや感情が、他者に伝わらないことを前提として
慮りをすること。
自分が孤独であり、相手も孤独であることを大前提とした上で、
意識的に行動をする場合、あらゆることについて配慮、検討が
必要になります。この配慮、検討を「いい人」たちは「計算」
とか「打算」とか云うでしょう。
よいのです。計算してください。きちんと計算をしなければ
いけません。



福田氏のメッセージは、お互いが利己的であり、自分勝手であり、
わがままな存在である、ということを認めた上で恋愛をすべきである、
ということだと思います。


「あなたの為を思ってしてあげたことなのに!」とか
「私がどれだけあなたを助けてあげたと思っているの!」等の
発言の根底には、「善意に基づいた献身は良いものである」
という前提が隠されています。でも、プレゼントをあげたり、
高級レストランで食事をおごってあげたり、さらにはお金を
貸してあげたり、等の恋愛の相手に対して行う行為は、いかに
「善意の産物」のように聞こえても、究極的には利己的で
我がままな行為である、という自覚が必要になります。


だから、島田紳介がテレビで紹介していた

「すみません。あなたのことを勝手に好きになってもいいですか?」

というのが、効果的な殺し文句になるわけです。
自分の利己的で勝手な欲望をあっさりと認めた本音
ぶつけているからです。



恋愛においては
「ねえ、こんなに尽くしているのに、なぜ何も私のことを愛してくれないの」
などと、見返りを期待してはいけないわけです。
「私の我がままで尽くしてしまってごめんね。」
「かってに愛してしまって迷惑をかけるな。すまない。」
くらいの態度で接しないといけない。


そう、愛に見返りを求めてはいけません。
愛はひたすら与えるもの。ひたすら与え続けるものです。