昨日某大学のクラス中に、面白い、しかしとても難しい質問をいただきました。
私が授業中に、以下の例文を書きました。
I met my wife nine years ago.She was beautiful.
そこで恐ろしい質問が。「wasと過去形を使うと、今はもうbeautifulじゃないという意味になるんじゃないですか?」
うーん、するどい。私はここでは過去形を使ってよいという、文法的かつ感覚的な確信がありました。でも、確かに「She is beautiful」と現在形を使ったほうが、「今はbeautifulじゃないのか!?」という「つっこみ」が入らない、無難な意味になります。現在に至るまで状態が続いている場合は、時制一致ルールの例外として現在形を使うことが可能です。
When I was little, I didn't know that the earth is round.
(今でも地球は丸い!)
また、「historical present」(歴史的現在)という考え方もあります。
http://en.wikipedia.org/wiki/Historical_present
小説等で、過去の出来事に臨場感を与えるために、あえて現在形を用いる用法です。
でも、どうしても、私はここでは
I met my wife nine years ago.
She was beautiful.
過去形を使いたいんです!(笑)
特に、しみじみと思い返している様子で、気持ちをこめて「She was beautiful」と言えば、「今はbeautifulじゃないのか!?」等と誤解される心配はないんです。
私の語感で言うと、過去形(was)を使った方が、過去の彼女との出会いのシーンが、「過去の思い出」としてリアルに頭の中に浮かんでいる様子が伝わる。現在形(is)でも正しい英語だが、出会いの瞬間の感動があまり伝わってこない。現在形だと、私にはドライな客観的な発言に聞こえてしまう。でも、このあたりは好みなんですね。私は過去形を使いたいんです!
以上、数人のネイティブと白熱した議論をした上での見解です。ネイティブの中でも、若干意見が分かれました。
文法学習は、このような「グレーゾーン」について考えることこそが面白いのですヨ。文法書に書いているみたいに、そんな簡単には理屈では割り切れないのです。
異なる時制を上手く使い分けることによって、微妙な意味の違いを表現できるようになります。一神教的文化を前提とした、一直線の歴史観を意識しながら、しっかりと英語の時制をマスターしましょう。
See you in class!