社交ダンスでは、基本的には男性が「リード」をして、女性が「フォロー」をします。ただし、男性がリードをするからといって、男性がわがままに振る舞ってよいわけではないのが難しいところで、かつ面白いところでもあります。女性の次の動きを先読みし、その動きを助けるようなリードが必要です。組織のリーダーが好き勝手なことをしてはダメなのと似ていると思います。そして、女性も「フォロー」する立場だからといって、カップルの進む方向やステップのフットワーク等を意識せずに、なんとなく男性についていくだけでは、本当のカップルダンスは成立しません。では、上手な「フォロー」って何なのだろう?


極端な例が、「何も考えずに、男性についていくだけの女性」です。これだと、単に「何も知らないだけ」です。男性に負担がかかります。(笑) 逆の極端な例が、ステップの知識が豊富なために「リードを待たずに勝手に動いてしまう女性」です。こちらのケースも喧嘩になりがちです。(経験者は語る)


日本の競技ダンス界の大御所の某先生(女性)が、とある本の中で上手いことを言っていました。「知っていることを、知らないふりをすることが大切だ」と。つまり、女性はカップル(2人)としての次の動きを知らないよりは知っていた方が良い。でも、そこであえて「知らないふりをする」ことが大切だ、と。「知らないふり」をして、男性のリードを待つ。知識があっても、あえて自分からは動かない。それによって、2人の動きがスムーズになる。


これ、リーダーシップ論を考える上で大切な考え方だと思います。リーダーには「リードする人間性とコミュニケーションスキル」が必要で、サポートする側にも「自分が知っていることを頭の中でいったん括弧にくくり、リーダーの示す方向性に動こうとする」ことが」大切です。


さらに、テストの勉強においても重要な視点だと思うのです。私はGMATやTOEFLのOfficial Guideを繰り返し復習することを受講生の方にお願いしているのですが、その復習の方法が下手な方が多い。単に答えをなぞっているだけ(答えを記憶してしまい「これはAが正解でしたね。以上。(苦笑)」みたいな復習をしているケースが見受けられます。これだと、少し問題の数字や単語をひねっただけの応用問題にコロッと騙されてしまうことがある。復習は回数の問題ではないんです。質が重要です。


問題の復習をする際は、もし答えを覚えていても「知らないふり」をして、解答のプロセスを意識してください。場合によっては、解く際の手順を「独り言で言う」か「書き出す」ことも実施ください。「知っていること」だけで勝負しようとすると、「知らないこと」に遭遇した時に何も動けなくなってしまいます。