オールウェイズ〈4〉 (角川文庫)



作家の開高健は「気品」をこう語りました。


「オールウェイズ」角川文庫 p.169〜より


女の気品というのは、自分のことを美しいとか美しくないとか、そんなことを頭から気にしていない場合に生じるのかと。


男なら何だろうか。


一生懸命やって、生涯、勉強したり、研究したり、考え込んだり、分析したり、総合したり、物を知ってきた人が仮にいたとする。しかし、一生懸命それをやったという一方で、それは無駄であると、一切無駄であるということを同時にわきまえている人。もしそれが顔に出てきたら、その人物はかなりの気品がでてくるんじゃないか、と思うんですが。


本来、あるいは修行の結果持つことになったサムシング、形にならないがはっきり人に対して出てくる、訴えようと思っていないのに、訴えてきて、人を寛がせたり、和らげたりする人、そういうものですね。それをなんとかして作りたいと思うんです。


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「私は美しいでしょう?」という自己意識が際立つ女性と話すと興ざめする。また、自分の仕事に過度なプライドを持つ男は、自分の弱さを隠すための必死さが見え隠れして、哀れを誘う。


何かに一生懸命打ち込んでいながら、その何かが無駄であるとわきまえるのは、なかなか困難なことだと思います。でも、自分が情熱を傾けているものに対して過度に自信を持ってしまうと、下品になってしまう。バランスをとることは難しいのだけれど、控えめな自信と、適度な謙虚さを持ちたい。


自分のことを美しいなんて思っていない女性こそが美しく、自分のことをカッコいいなんて思っていない男性こそがカッコいい。そんな気がしませんか?