英文法に可算名詞(countable noun)と不可算名詞(uncountable noun)という用語があります。そして、英語の名詞をこれら2種類のカテゴリーに分ける際に、「物理的に数えられるか否か」という視点のみを持ち出すと危険なのです。実は、より重要なのは「英語圏の文化において数を意識するか否か」「英語圏の人たちが数えたいか否か」という視点です。


たとえば、advice(アドバイス)という名詞は不可算名詞です。よって、

× Let me give you an advice. (アドバイスを1つあげよう)

は文法的に間違いです。

正しくは

○ Let me give you a piece of advice.

と、"piece"という語句を使って無理やり数えるか、あるいは

○ Let me give you advice.

と、冠詞をつけずに使う必要があります。("some"を使って、"Let me give you some advice."と表現することも可能です。)


日本語では「アドバイスを1つ」と表現することが多いのですが、英語では「アドバイス」という概念に「数の意識」が伴わないのです。ここで、「本質的、物質的にアドバイスを数えることが出来るか否か」という議論をしてもあまり意味がないと私は考えます。究極的に言うと、アドバイスという概念は、英語圏の人は「数えたくない」のです。これは文化や意識の問題であって、 英語という言語の「枠」を無視して、本質的に「アドバイス」という概念が数えられるか否かを議論しても、あまり意味がない。構造主義的に言うと、「視点(文化・言語)が意味を作る」のです。


informationという名詞も英語では不可算名詞なのですが、ドイツ語においてはinformationは数えることができると知ってビックリしたことがあります。英語とドイツ語は、共にゲルマン語派に属しており、兄弟のような関係なのですが、このような違いが存在します。

英語では、

× Let me give you an information.

は間違いであり、

○ Let me give you a piece of information.
○ Let me give you information.
○ Let me give you some information.


のいずれかの表現を用いる必要があります。