『夜と霧』ビクトール・フランクルの言葉 (ワニ文庫)


p.201
不眠の方には、こう言う。「『できるだけ起きていてやろう。今日は意地でも眠らないぞ』と思ってください」と。


フランクル心理学の特徴の一つに「逆接志向」があります。

私自身も、寝れない時にこの「逆接志向」を実際によく使います。「寝よう、寝よう」と焦ったり、「寝なくては!」と自分に言い聞かせるは大抵は逆効果です。その代りに「私は寝てはいけないんだ!」と自分に言い聞かせたり、あるいは「寝てはいけない罰ゲームに参加しているんだ!」とイメージすると効果てきめんです。

NLPを勉強された方なら「脳は否定形を理解できない」という脳科学の教えをご存じかもしれません。「ピンク色の像を想像しないてください」と言われると、逆にどうしてもピンク色の像をイメージしてしまうのですね。否定形(否定文)を伝えられた人は、いったんその内容を実行し(ピンク色の像をいったん想像し)、それからその行為をしないようにと否定しようとするのです。このような脳の癖を利用したミルトン話法が「否定命令」ですね。そして、フランクル心理学の「逆接志向」も、この脳の特徴を利用した手法であると私は認識しています。