國弘流英語の話しかた

國弘正雄の英語の学びかた

英会話・ぜったい・音読 【入門編】—英語の基礎回路を作る本


私は英語の学習法として「ホリスティック音読」の実践をお勧めしています。

本格的な英語力を身に着けるためには、頭の中に「英語脳(英語回路)」を創ることが必要不可欠です。英語を日本語に訳さずに「英語を英語で考える(Think in English)」ことが大切なのです。そして、そのような状態を作り出すための訓練方法として「ホリスティック音読」の実践をお勧めしています。

「ホリスティック(holistic)」とは「全体性」を意味し、たとえば医療分野において「ホリスティック医学」という名前で使われます。東洋医療の影響を受けているホリスティック医学では「頭が痛いなら頭痛薬を飲めばよい」「肩が痛いなら肩を揉めばよい」等のように体を部分部分に分解して考えるのではなく、体全体を一つのシステムととらえて「全体性(holism)」を目指します。英語学習においても「単語学習は単語学習」「文法は文法」のように、様々な勉強の要素がバラバラに扱われがちなのですが、ホリスティック音読においては「姿勢」「呼吸」「発声」「発音」「非言語(顔の表情、ジェスチャー、等)」 等の様々な要素を包括的に扱います。

私の「ホリスティック音読」は、故・國弘正雄先生の「只管朗読」という勉強法をベースにしたものです。私の英語の恩師は持丸美雄先生(浅野中学英語科)であり、そして持丸先生の師匠が國弘正雄先生でした。國弘先生は同時通訳者、英語講師、ニュースキャスター、政治家等として大活躍をされた先生であり、私の世代の英語学徒にとっては「音読の國弘正雄」と 「多読の松本道弘」の二人が英雄でした。私は國弘先生、そしてその弟子の一人持丸先生の「音読訓練法」を愚直に実践しました。中学校のテキストはもちろん、NHKのラジオ英会話や文化放送の「百万人の英語」等のテキストを徹底的に音読し、そのおかげで高校一年時にアメリカへ留学した際には、英語学校等には一切通わなかったのにもかかわらず、ある程度の基本的な英会話は問題なく実践できました。

私のホリスティック音読は、國弘流の音読術と、私自身の英語学習体験がベースになっています。