対話する生と死
対話する生と死
posted with amazlet on 07.02.12
河合隼雄
大和書房
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p.20

つまり、自分は「治療者」だと思っているが、自分は半身は
「患者」であること、病んでいることをこの夢は告げている。


治療者の私が「もう一人の私」としての病者を明確に自覚すると、
病者の心のなかの「もう一人の私」としての治療者がはたらき
はじめるようである。つまり、その人は自らのなかの「治療者」
の力によって治っていくのである。


ひょっとしたらそれは私の「病める部分」を治してくれている
かもしれない。


★★★★


うーん、深い。凄い。さすが河合隼雄先生。


上記の内容を、私なりにまとめると



治療者が、自分の中の「患者としての半身」を自覚する



病者の中の、「治療者としての半身」が活性化する



病者の中の「治療者としての半身」が、病者の中の
「患者としての半身」を治す



さらに、病者の中の「治療者としての半身」が、治療者の
「患者としての半身」を治してくれるかもしれない



ということになるかと思います。




治療者(カウンセラー、等)が、自分の中の「患者としての
半身」を自覚しながら、実際のカウンセリングのセッション
を行う、というのは、言うほど簡単なことではないと思います。
しかし、治療者が「完璧な人間であろう」としたり、「自分の
弱点や病んでいる部分」を必要以上に隠そうとすると、
カウンセリングがあまりうまく進まないことがあると、
経験的にも理論的にも感じます。


もちろん、だからと言って、カウンセラーがどんどん「僕は
こんなに病気だんだよー(笑)」などと、クライエントに
伝えればいい、なんてことを河合先生は言っているのでは
決してありません。



「自分の中にある病者としての半身」を意識しながら
カウンセリングをすること。



これが、カウンセラーとして大切な姿勢なのではないでしょうか。
広義に解釈すれば、ロジャーズの「自己一致」の概念と関連が
あるような気もします。自分の弱い点も全て認めた上でカウンセリングを
実施すべきである、という意味において。




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