私は、大学生のころ、二人の思想家にハマリました。
橋爪大三郎」と「竹田青嗣」の二人です。



橋爪先生は、まず

冒険としての社会科学」(毎日新聞社)

から読みました。


彼自身の学生運動の経験を披瀝しつつ、社会というものを
どのように捉えていくのか、勉強していくのか、という
手順のきっかけを与えてくれた名著です。

私は、以下の橋爪先生の言葉に支えられて、今までがんばって
物事を考えてきたつもりです。


「自分の社会をあるがままに直視するのは苦しいものである。
勇気もいる。ひょっとすると無傷ですまないかもしれない。
けれどもそうやって、周囲に流されず、自分の眼を見開き、
自分の足取りで歩く人びとがひとりでも増えるのは、大切な
ことだ。その分だけこの社会は確実に生きよいものになる。
そういう人を友と呼びたい」 (冒険としての社会科学より)



自分の信念を貫いて生きていく覚悟を表明した文章です。
私も、正しいけれど言ってはいけないことを言ってしまい
会社を辞めることになったり、喧嘩に巻き込まれたり、
罵倒されたり、等々不安定な人生を送ってきました。
でも、やはりそこには「自分の眼を見開いて、橋爪さんに
友と思われるような人間になりたい」という動機や信念が
あったように思います。(自分勝手な発言、自己弁護と
解釈されることを覚悟しています)



はじめての構造主義
はじめての構造主義
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橋爪 大三郎
講談社 (1988/05)
売り上げランキング: 53293


この本も、私の人生を変えた本の一冊です。この本のおかげで、
「構造主義」の考え方の断片に触れ、後に丸山圭三郎の言語哲学に
出逢っていく、思想的なきっかけをつくってくれた本でした。
思想好き、哲学好きの皆様には是非おすすめです。業界でも
当時非常に話題になった本でした。





竹田先生は、まず

現代思想の冒険」筑摩書房


から読みました。当時(1990年代)は「現代思想ブーム」
「ポストモダンブーム」でした。浅田彰や中沢新一が
人気を博していた時代です。


「現代思想の冒険」 は、思想に興味があった私に、フロイト、
ソシュール、等の思想家の勉強に手を出す土台を与えてくれ
ました。様々な思想家の考え方のエッセンスを、実に分かり
安く解説している名著です。


この本は、一部の哲学の専門家の間では不評だったようです。
大学のいわゆる正統知識人の中には「竹田青嗣は哲学を
分かっていない」「彼は哲学の専門家とは呼べない」と
まで酷評されていた記憶があります。


でも、風太郎はこう考えます。
もし、万が一、学問的な解釈が多少ずれていたとしても、
もがき苦しんでいる学生に哲学・思想に触れるきっかけを
与えたのであれば、それはそれですばらしい業績なのではないか。


竹田氏も、この本の中で「日本には哲・学者はたくさん
いるが、哲学・者は少ない」と嘆いています。つまり、
「学者」として哲学を研究する人は多いが、自分の頭で
「哲学」を「する」「実践する」人が少ないのではないか、と。


自分の頭を使って、本当に哲学を「する」人、学問的でなくても
いいから、自分眼を見開いて世の中の本質を見抜こうと努力する人が
日本には少ないのではないか、というのが彼が抱いていた危機感
なのだと思います。


竹田青嗣の本に興味をもたれた方は、下記の入門書をお薦めします。
「生きる意味が分からない」、あるいは「本当の自分が分からない」
と悩んでいる若者に是非読んでもらいたい!



自分探しの哲学―「ほんとうの自分」と「生きる意味」
竹田 青嗣
主婦の友インフォス情報社 (2007/04)
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私は、橋爪大三郎と竹田青嗣の二人のおかげで、苦しい青春時代、
大学時代をどうにか乗り越えられたのかもしれません。橋爪先生、
竹田先生、感謝いたしいます。





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