私は16歳の時にアメリカへ「逃げ」ました。親との関係が上手くいかず、学校でも居場所がなく、日本に絶望した私は、アメリカへ夢を託して1年間の交換留学プログラムに参加したのです。(このあたりのことは既に何度か書かせていただいております。)
シャイで無口だった当時の私にとって、アメリカの高校生活は厳しいものでした。でも、そんな私にとって救いの一つだったのがチェス部で活躍できたことです。将棋が出来れば、チェスもある程度は指せるものです。将棋の羽生さん(羽生善治棋聖)も、本職の将棋に加えてチェスにおいても国際試合で大活躍をしていますね。ルールはかなり異なるのですが、「王様(チェスではキング)を取れば勝ち」という根本は同じなのです。
ただ、将棋では桂馬(どうぶつしょうぎでは「うさぎ」)が前にしか飛べないのに対して、チェスのナイトは「八方桂」という名前を付けられることがある通り、横にも後ろにも「飛ぶ」ことができるのです。なので、私がチェスで負ける場合は、相手のナイトが後ろに跳べることをうっかりして駒を取られて「ぎゃっ!」と叫んでしまうパターンでした。(苦笑)
チェス部は今の言葉で言うと「おたく」の集まりでした。アメリカの高校では、男子はスポーツが出来るか社交性がないと女の子には全くもてません。眼鏡をかけて、女の子と口をきけない、シャイで社交性のない連中ばかりがメンバーだったチェス部は、私にとって居心地の良い空間でした。