シドニー大学の寮(インターナショナルハウス)は男女混合で、バスタオル一枚を体に巻いただけの女性が堂々と廊下を歩いているのにすれ違う(!)といった、女性慣れしていなかった当時の私にはなんとも刺激的な(?)環境でした。
寮で最初に会話をしたのは、同じフロアーに住むオーストラリア人の女性だったと記憶しています。会話の最初に「日本人ということは、どうせMBA専攻なんでしょ?」という、決めつけと侮蔑を感じさせる質問を受けたのです。私がオーストラリアへ留学した1990年は日本経済がバブルの絶頂期を迎えており、「日本人はどうせ金の猛者なんでしょ?」というイメージが彼女にはあったのでしょうね。あるいはMBAの人に嫌なことを言われたことがあったのかもしれない。当時の私はMBAの存在を知らなかった(笑)ので、確か「MBAってなあに?」という間抜けな返答をした記憶があります。(笑)今の私はMBA志望者の支援業務(GMAT指導)を日々こなしているのにね。ははは。
寮には日本人のMBA留学生が一人いました。たしか銀行員の方でしたが、あまり交流がなかったので名前も覚えていません。今ふりかえると先見の明を持った方でした。
「てっちゃん(私のこと)、これからは情報を自分から取りに行く時代がくるよ。今はマスメディアの情報を受け身の姿勢でなんとなく受け入れていれば生きていけるけど、将来は積極的に自分から情報をとりにいかないと生きていけない時代が来るんだ。情報は自分で選ばないといけないよ。」と熱く語ってくださいました。彼にとって、私は「かわいい後輩」だけど「頼りなさそうな奴」だったのでしょう、色々とアドバイス(お説教?)をいただきました。そして、この「情報との接し方」に関するアドバイスを今でも覚えているということは、当時の未熟な私にもなんとなくこの「未来予想」はピントきていたのでしょうが、この先輩ほどには私は未来が見えていなかった気がする。その後インターネットが出現し、<ウソ>や<デマ>が氾濫する時代を私たちは生きています。今の私はテレビも新聞もほとんど見ない生活をしており、ある意味彼の「未来予測」があたっていたことに、この文章を書いていて気づかされました。
と、ここまで書いて、確かこの先輩が「富士銀行」勤務の方だったと思い出しました。「富士銀行」って、その後どうなったんだっけ?(苦笑)銀行業界はその後合併やら吸収やらがたくさん起きたので、どの銀行とどの銀行がくっついたのか、素人の私にはよく分かりません。ははは。ご縁があったらまたお会いして、お礼を申し上げたい。まずはお名前を思い出す必要があるけど。(苦笑)
意外な人の意外なアドバイスで生かされている自分に気づかされました。感謝。合掌。
私も、もう少し意図をもって若い人向けに発言をしていこう。誤解されることを怖がらずに。