アメリカのビジネススクール(MBA)留学中の方から、以下のようなお便りをいただきました。
ご本人の了解を得ましたので、以下転載させていただきます。


>>>引用開始>>>
確かに先生の仰る通り、私は「日本人であることや日本文化」を大切にしております。
ビジネススクールではマイノリティとなる留学生である以上、日本を代表してきていると自負している次第です。
ですが、肝心の日本人同級生を見ていて嘆かわしく思うのは、驚くほど日本のことを知らないということです。
日本の文化、歴史(世界史も含めて)、哲学についての造詣が恐ろしくないので、こうしたトピックへの質問に答えられない人が多いです。
「原爆投下は正義だった」と言われれば、若き日の飯島先生のように抗うことなく、「そうかもね」と述べてしまうんではないでしょうか。
このままでは、日本人は「アニメを見て、寿司を食べ、国債残高を積み増す、変わった人々」としか思われなくなってしまう・・・そう危惧しております。
>>>引用終了>>>


私はこの人を勝手に「同志」だと思っています。志が高い方です。

私は留学して初めて自分の無知を思い知らされました。
16歳でアメリカへ渡った当時の私は、仏教と神道の違いすら全く理解していませんでした。

ただ、無知ではあったものの、アメリカ史のクラスで教師がアメリカの原爆投下を正義とする論陣を張った際に、反論をする気概は持ち合わせていました。でも、未熟者だった私は「原爆で多くの人が死んだ」「被害が甚大だった」等の感情論しか展開できず、ディベートとしては完敗でした。それでも、私は「日本のことを知らない日本人であること」に対する恥の意識、自責の念は一応持ち合わせていました。現在に至るまで、気概はあるものの知識はないままで馬齢を重ねてしまいましたが。。

私は海外のMBAへ留学する方々には「日本の歴史、文化、宗教」について最低限の教養を身に着けることと、基本的な哲学を学ぶことをお勧めしたいのです。マネジメントやリーダシップは究極的には「人間力」の勝負であり、英語や経営を学ぶだけでは人はついてきません。

いくら「日本人」というアイデンティティーが薄い方でも、いったん留学すれば周囲からは「日本人」として見られるのです。MBAの受講生選抜プロセスにおいては「〜人は何人くらい取ろう(入学させりょう)」等と、国籍ごとにある程度バランスをとろうという意図が働くことが多いようです。つまり、いくら自分自身に「日本代表」という意識が薄くても、周囲からは「日本代表」という目で見られ、「日本代表」という役回りが期待されるのです。

日本を、単なる「アニメと寿司の国」に終わらせたくないですよね?
もちろん、私はアニメも寿司も好きですので、念のため。