子供に英語を何歳から学ばせるべきかは、とても難しい問題です。私は基本的には日本における「幼児期の英語教育」には反対です(今日はこの点は論じません)が、英語の発音やリスニング力を向上させることを至上命題とするならば「幼ければ幼い方が良い」のは否定できない「客観的な事実」です。専門家によって意見が分かれますが、脳科学の世界では12歳前後を「クリティカルエイジ」(脳の学習限界年齢)と考える人が多いようです。(参照:私が尊敬する高橋基治先生の論文


実際に、中学一年生になってから学校で英語を学び始めた私は、その後留学等も経験して英語の発音にはかなり自信があるのですが、「"l"と"r"の違い」等の英語の音が未だに完全には聞き取れません。3歳から鈴木メソッドでバイオリンを習っていたこともあり、「絶対音感」とはいかないものの「音」全般にはかなり敏感な私なのですが、いくつかの音はいまだに聞き取れません。(もちろん、私の努力不足という面もあります。)では、英語のリスニングをどのように実践しているかというと、音がはっきり聞き取れない場合は「前後関係」「常識」「文法」等にてカバーしているのです。


先日、Affinity英語学院のIELTS LR戦略クラス(内宮慶一先生担当)を見学しました。ディクテーションの時間に"Do you mind my asking your salary?"(あなたの給料を伺ってはお嫌ですか?)という英文が



Do you mind if I ...


と受講生には聞こえていたのが印象的でした。何回聞いてもらっても"Do you mind if I..."という回答でした。それは、"Do you mind..."ときたら"if I..."とくるものだという「文法」あるいは「構文」の知識が邪魔したのだと思うのです。"my asking"という「所有格+動名詞」の形(文法ルール)に馴染みがなかったので、そのようには聞き取れなかったようです。


つまり、この「所有格+動名詞」という文法ルールを知っていれば、"Do you mind my asking..?"という聞き取りができる可能性が高まるはずだ、というのが私の見解です。実際、私自身は文法の知識によって、リスニング力の不足を補っています。


ちなみに、「所有格+動名詞」は動名詞の意味上の主語を明確にする用法です。

たとえば、

I don't like smoking.

は「私は煙草を吸うのが好きではない。」

という意味になるのに対して、

I don't like his smoking.

は「彼が煙草を吸うのが嫌いだ。」

I don't like Julie's smoking.

は「私はジュリーが煙草を吸うのが嫌いだ。」

となります。


・・・たぶん続きまます。