ご存知の方も多いと思いますが、色川武大氏と安佐田哲也氏は
同一人物です。麻雀放浪記が有名ですね。
p.132
真実というものはすべて、二律背反(相反する二面)の濃い塊に
なっている。
「恋愛は技術である」
「いや、恋愛は真心が大切だ」
あるいは
「英語学習では文法が大切だ」
「いや、大切なのはフィーリングだよ」
さらには
「それにしても、アメリカと日本の文化は本当に違うなあ」
「いや、人間はどの文化でも同じだよ。文化なんて関係ない」
もちろん、どちらの言説も正しいんですよ。
真実は、その二律背反の濃い塊の奥にぼんやりと潜んでいる。
二律背反の片方の面だけに固着すると、真実は霧の奥へと消えていく。
「ねえ、私とあの子のどちらが大切なのよ!?」
「真実は二律背反の濃い塊の奥にぼんやりと潜んでいるんだよ」
「なに訳の分からないこと言ってるよ! ボカッ ビシッ」