“私”はなぜカウンセリングを受けたのか―「いい人、やめた!」母と娘の挑戦
東 ちづる 長谷川 博一
マガジンハウス
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私のように、自分の心の闇に気づき、それが主に親の
影響だと知っている子どもたちは決して少なくないのだ。


私の周囲にもいる“いい子”
“いい人”をやってきて、グレることができたら
どんなに楽だったかと爆発寸前の人から、
もうとっくに“いい人”を捨てた人まで。

しかし、それを親に伝え、変化を求めようと試みる人は、
ごくわずかである。<<<<<>>>>>>



子供だけでなく、大人になっても「親の呪縛」から逃れることが
できずに苦しんでいる人は多い。親の期待に沿ったり、親の求める
人間像に無理やり自分を合わせたり。そして、“いい子”の脱却
のためには、とりあえず「グレる」ことが第一歩となりうる。


ただ・・・


どんなに学校をさぼったり、不良ぶったとしても、それが
“いい子”を止めることには必ずしもならない。本当の
意味で“いい子”を止めるためには、親に表面的に反抗
するだけではなく、心の深いところで、親の押し付けや
決め付けから自由になる必要がある。


そして、言うほど簡単なことではないのだが、親に対する
怒りを捨てて(超えて)、親がどんなに馬鹿な考えをもって
いたとしても、その愚かな考えを持つに至った歴史的な経緯、
家族の事情等を理解する努力をすること。そして、その上で、
その「親の愚かさ」を「認めること」が難しかったとしても、
せめて「受け止める」こと、そしてできれば「許して」あげる
こと。それが、本当の意味で“いい子”を止めて“自由な大人”
へなっていくということなのではないか。


“いい子”を止める第一歩は、とりあえず「反抗すること」
であると私も思う。ただ、できれば、そこからさらに一歩
踏み出して、単なる反抗の先にある「親の愚かさを認めること」
を目指してほしい。


私もまだ格闘中です。親が生きているうちに「許せる」ように
なるのだろうか。


ため息。合掌。